生成AIの急速な進化は、システムエンジニアやインフラエンジニアの仕事にも多大な影響を与えています。業務によってはAIに代替されるともいわれるなかで、スキルアップの方向性に迷うエンジニアもいるのではないでしょうか。
今回は、生成AIの進化に伴って変わるといわれるシステムエンジニアの仕事とスキルについて解説します。
生成AI時代のシステムエンジニアの仕事内容
2025年に入ってから人材サービスが実施した調査によると、「業務で生成AIを活用している」と答えたエンジニアの割合は4割を超えるそうです。今後のシステムエンジニアは、開発や運用に関する技術や知見だけでなく、生成AIをいかに活用するかが問われるでしょう。
まずはシステム開発において生成AIができることと、システムエンジニアが担うタスクについて解説します。
生成AIが代替できるエンジニアの仕事
生成AIによるシステム開発のタスクの自動化は、現状ではコーディングが中心ですが、簡単なアプリの制作であれば、短いプロンプトを与えるだけでAIが代行できるようになっています。
ノーコードの開発ツールも進化しており、専門知識のない人でもアプリを開発できる時代になりつつあります。以下のようなアプリやシステムの開発では、今後生成AIで大部分を制作できるようになるでしょう。
・業務効率化のための社内ツール
・多様なデータを一括管理するデータベース
・ECサイト
・自社サービスのプロダクト
さらに生成AIは、コード生成だけでなく、一部のシステム設計や機能提案にも活用され始めています。例えば、「生成AIにユーザー情報を学習させて、ユーザビリティ向上のアイデアを得る」といった活用も可能です。
生成AI時代のシステムエンジニアに残るタスク
一方で、生成AIによる代替が難しく、エンジニアにしか担えないタスクも残るでしょう。
例えば、顧客のIT戦略立案やAI搭載システムの設計、技術に対応するためのアイデアの創出などは、AIには代替が困難なタスクの一例です。AIが生成したコードを「どのように活用するか」「どのようにプロジェクトに組み込むか」の視点がいっそう重要性を増すと考えられます。
ソフトウェアはニーズに合わせて柔軟に変化できる必要があるため、単にAIの生成物をつぎはぎしただけでは、機能の改修や拡張時に支障が出るかもしれません。
そのため、保守性や拡張性を考慮した適切なディレクトリ構成やアーキテクチャ設計を行い、長期に運用可能なソフトウェアを構築する業務は、引き続きエンジニアが頼られるはずです。
また、生成AIの精度を高めるプロンプトを開発・最適化する「プロンプトエンジニアリング」の業務も、新しいサービスや製品を生み出すためにエンジニアが担う重要な役割です。
単純なコーディング作業はAIに任せ、システムエンジニアはより高度な設計やアーキテクチャ構築に専念できるようになるでしょう。
今後システムエンジニアに求められる資質とスキル
先述の調査では、採用担当者の約4割が「エンジニアに必須のスキルが変化した」と回答しています。ここからは、生成AI時代のエンジニアに求められる資質とスキルを解説します。
上流工程の経験
生成AI時代のエンジニアには、要件定義や企画などの上流工程の経験がより重要性を増します。今後エンジニアには、AI技術を活用した新システムの設計やデータ解析のアルゴリズム開発や、それらをビジネス成果に結びつける戦略策定などの役割が期待されます。
複雑なビジネス戦略や顧客特有の要件に対応するためには、技術者としての洞察力や傾聴力、課題解決力が必要です。顧客の課題解決に貢献できる上流工程の経験を積むことをおすすめします。
顧客志向のスタンス
生成AIに定型的なタスクを任せられるため、エンジニアは顧客の課題解決に注力できるようになります。
現状、AIは人間の感情を読み取ることは苦手です。そのため、クライアントやチーム内外の細やかなコミュニケーションにおいては、人間の介在が不可欠であり、特にクライアントへのヒアリング等の業務はAIに代替されるまでには時間がかかるでしょう。
これからのエンジニアは、今まで以上に顧客のビジネスやニーズの理解が求められるようになるものと思われます。
提案・交渉力
顧客に適切なヒアリングを行い、最適な提案をするスキルが今後のエンジニアには不可欠です。
コミュニケーションを通じて課題の本質や背景を深く理解し、企業や組織の文化を汲み取ることは、生成AIにはまだ難しい領域です。
顧客の要望を要件に落とし込める力と、相手にメリットを提示して交渉するビジネススキルを持つエンジニアは、AIには代替できないため、プロジェクトに欠かせない存在となります。
メンバーマネジメント・教育
技術進化が加速している時代、システムエンジニアには継続的な学習と技術習得が求められます。そしてエンジニアは自ら学ぶと同時に、後進を育成するスキルも必要です。
メンタリングや指導を通じて、自身の学習プロセスを次世代に伝え、再現性のある形で後進を育成できるエンジニアは、生成AI時代においても価値が高まります。
高度なAIリテラシー
今後のエンジニアには、AIを効果的に活用する能力に加え、AIの限界や不得意な点を理解して補うスキル、そして潜在的なリスクを予測し回避するスキルも求められます。
特に、業務の本質を理解したうえでAIの出力結果を評価し、アウトプットの品質をレビューする能力が重要になります。さらに、AIシステムを使用する非エンジニアのユーザーに対し、AIの注意点を明確に伝え、適切に指導する役割も求められます。
単なる自動化・業務効率化に留まらず、AIを「コア業務」に活用できるクリエイティブな人材をめざしましょう。
生成AI時代に求められるエンジニアをめざせる日比谷情報システム
システムエンジニアの業務において、定型的なタスクはいずれAIに代替される可能性が高いようです。今後のキャリアを考えて「上流工程の経験値を高めたい」「顧客に近いポジションで働きたい」「プロジェクトマネジメントのスキルを得たい」という方は、日比谷情報システムにご注目ください。
システム開発やインフラ構築の案件を上流から請け負うことが多い日比谷情報システムは、エンジニアのキャリアアップとスキルの向上を重視しており、それぞれの志向に沿ったプロジェクトで活躍できる環境が整っています。
これからのシステムエンジニアは、生成AIの能力を的確に評価・活用し、開発や運用の業務を最適化する能力が問われます。プロジェクトの全体像や顧客のニーズを把握し、工程やタスクをコーディネートできるエンジニアをめざしたい方は、日比谷情報システムの採用情報をご覧ください。