技術進化の速いIT業界において、専門資格の取得を考えるエンジニアの方も多いのではないでしょうか。特に近年はセキュリティやインフラ、クラウド系資格に注目が集まっており、取得することでキャリアアップの可能性が高まるといわれています。
今回は、エンジニアがIT系資格を取る重要性と、取得の目的別に資格の難易度と将来性を紹介します。
エンジニアがIT系資格を取得する重要性
ITエンジニアの業務に資格は必須ではありませんが、資格取得には以下の明確なメリットがあります。
- キャリアのレベルチェック
- 転職・社内登用時の評価アップ
- 将来のキャリア選択肢の拡大
資格取得を通じて最新技術を体系的に学習することで、エンジニアは時代のニーズに対応した専門性を身に付けられます。中でもセキュリティやクラウドといった成長分野の資格は今後も需要が高まると予想されており、関連する資格はエンジニアのスキル証明として、キャリアアップに役立つでしょう。
着実にキャリアアップするためには、自身の目指す技術分野や進みたいキャリアプランに合わせた資格を取得することが大切です。現状のスキルレベルに合わせて試験を選択し、段階的・体系的にステップアップを図ることで、効率的にスキルを身に着けられます。
- エンジニアとしての総合力を身に着けたい⇒総合系
- セキュリティ強化を目指したい⇒セキュリティ系
- 基盤スキルを固めたい⇒インフラ系
- 最新の市場で戦いたい⇒クラウド系
- 開発力を示したい⇒システム開発系
- 管理職やリーダー職を狙う⇒マネジメント系
1.システム開発・インフラの総合系資格
システム開発エンジニア・インフラエンジニアとして技術からマネジメント、経営戦略までを総合的に身に付けたい場合は、IPAの情報処理技術者試験(基本情報技術者試験、応用情報技術者試験)をおすすめします。将来、IT戦略立案、設計、要件定義に携わっていくための基礎となる内容です。
基本情報技術者:エンジニアの基礎力を証明
基本情報技術者はエンジニアの基礎力を総合的に問う国家資格です。IPAが実施する資格で、IT業界で働く上で必要な基礎知識を幅広くカバーしています。体系的なIT知識を身に付けるには最適な資格と言えるでしょう。
- 難易度:中
- 想定受験者:IT業界入職〜2年程度のエンジニア、未経験からの挑戦者多数
応用情報技術者:現場で使える知識・技術を証明
応用情報技術者は、設計や要件定義を含む幅広い知識とスキルを証明できるIPAの国家資格です。基本情報技術者の上位資格として位置付けられており、難易度は高めです。システム開発の全工程にわたる専門知識を体系的に習得できます。
- 試験内容・分野:技術要素、開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント
- 難易度:高
- 想定受験者:開発経験2〜3年以上、上流工程を目指す中堅エンジニア
2.セキュリティ系資格
セキュリティ強化を目指すならセキュリティ系の資格取得を目指しましょう。サイバー攻撃の増加や個人情報保護の重要性が高まる中、セキュリティの専門性を持つ人材の需要は急速に拡大しています。
情報処理安全確保支援士(SC):情報セキュリティ分野の最高峰
情報処理安全確保支援士(SC)は経済産業省が認定する国家資格であり、情報セキュリティ分野では最高峰の位置付けです。
試験範囲が広く難易度は高めですが、専門性を証明でき、社内外からの評価や収入アップにつながります。
- 難易度:高(合格率の参考値15%~19%前後)
- 試験内容:セキュリティマネジメント、技術評価、実装技術、運用監査など
- 想定受験者:システム開発やインフラ運用の経験がある中堅エンジニア(概ね3〜5年以上)
CISSP:国際的に評価される高度資格
CISSPは(ISC)²が認定するセキュリティ専門家向けの資格です。世界140カ国以上で通用する国際資格で、グローバル企業への転職や年収アップに効果を発揮します。ただし、受験には最低5年のセキュリティ関連業務経験が必要です。
- 難易度:高
- 試験内容:技術知識、経営・法律知識まで網羅
- 想定受験者:セキュリティ分野での実務経験が豊富なエンジニア(概ね5年以上)、グローバル案件やコンサルを目指す人
- 受験要件:情報セキュリティ分野で通算5年以上の有償実務経験(複数ドメインにわたる・条件を満たせば1年分の経験を免除可能)
3.インフラ系資格
基盤スキルを固めたいならインフラ系の資格取得から始めましょう。クラウド時代において、ITエンジニアに必要な基礎知識を幅広くカバーできるインフラ系資格の重要性が高まっています。
CCNA:ネットワーク基礎を証明できる
CCNAはネットワークの基礎的スキルを証明できる代表的な資格です。シスコシステムズが認定するネットワーク技術者向けの資格で、世界中のIT企業で高く評価されています。
- 難易度:中~やや高(合格率の参考値は20〜30%前後)
- 想定受験者:ネットワーク運用・保守の経験が1〜2年程度の若手エンジニア、社内SEやインフラ初級者
| 出題分野 | 出題割合 |
| ネットワークの基礎 | 20% |
| ネットワークアクセス | 20% |
| IP接続性 | 25% |
| IPサービス | 10% |
| セキュリティの基礎 | 15% |
| 自動化とプログラマビリティ | 10% |
LPIC(Linux Professional Institute):Linux環境の運用に必須のスキル
LPICはLinux環境の運用に必須のスキルを証明する国際資格です。クラウド環境の多くがLinuxベースで構築されており、DevOpsやコンテナ技術の普及とともにLinuxスキルの価値は高まっています。
- 難易度:合格率(参考値)は、レベル1約50~60%、レベル2約30%、レベル3約20%
- 想定受験者:Linuxサーバーを扱う運用エンジニア
- LPIC-1:入門〜2年未満の経験者
- LPIC-2:概ね3年以上の経験者(サーバー管理等)
- LPIC-3:概ね5年以上で設計・上流を担う人
4.クラウド系資格
最新の市場で戦いたいならクラウド系の資格がおすすめです。AWS、Azure、Google Cloudの認定資格は、現在のIT市場でもっとも需要の高いスキルの一つです。
AWS認定資格:クラウドスキルの定番
AWS認定資格はクラウドスキルの定番として業界で広く認知・採用されている認定資格です。Amazon Web Servicesが提供する公式認定資格で、クラウドインフラの設計・構築・運用スキルを証明できます。
- 難易度:中~高(認定ランクによる)
- 想定受験者:
- クラウドプラクティショナー(基礎レベル):入社1〜2年の若手エンジニア
- ソリューションアーキテクト(アソシエイト・プロフェッショナル):概ね経験2〜3年のインフラ、クラウド経験者
- デベロッパー(アソシエイト・プロフェッショナル):概ね経験5年以上で設計・導入の経験が豊富なエンジニア
Azure認定資格:マイクロソフト系インフラで強み
Azure認定資格はマイクロソフト系インフラでの強みを証明できる資格です。Microsoft Azureの技術的専門知識を証明する公式資格で、企業のクラウド移行やハイブリッドクラウド構築に役立ちます。
- 難易度:易~中(認定ランクによる)
- 想定受験者:
- AZ-900:入門レベル、経験1年未満でも挑戦可能
- AZ-104(管理者レベル):概ね2年以上の運用経験者
Google Cloud認定資格:データ分析・AI分野で注目
Google Cloud認定資格はデータ分析・AI分野で注目を集めている資格です。GoogleのAI技術やビッグデータ処理基盤を活用したシステム開発において、専門知識を持つエンジニアの需要が拡大しています。
- 難易度:易~中(認定ランクによる)
- 想定受験者:受験要件は特になし
- Associate:概ね1〜2年程度の経験者
- Professional:概ね3〜5年以上の経験者
5.システム開発系資格
開発力を示したいならシステム開発系の資格に挑戦しましょう。Java認定資格は、プログラミングスキルやシステム開発能力の客観的な証明に役立ちます。
システムアーキテクトは、システム開発のプロジェクトの上流工程において全体の戦略と設計、要件定義などの役割を担います。
システムアーキテクト試験:上流工程の戦略・設計の力が問われる資格
プロジェクトマネージャーやリーダーをめざすシステムエンジニアにとって、「システムアーキテクト試験」は上流工程へのステップアップに必要な知識・スキルレベルを確認する機会となります。この試験では、高度な専門知識や技術スキルに加え、複雑な仕様や機能をわかりやすく提案・説明する力も問われます。
難易度は応用情報技術者試験より高く、実務での経験や知見をふまえた論述式の問題が出題されるのが大きな特徴です。
- 難易度:高
- 想定受験者:システム開発に必要となる戦略・設計・要件定義などに携わる上級エンジニアをめざす人
Java認定資格:開発現場で需要の高い言語スキル
Java認定資格は開発現場で需要の高いJavaスキルを証明する資格で、Oracle社が認定する公式資格です。企業システムの多くでJavaが採用されているため、Java開発者の需要は比較的安定しています。認定にランクがあるので、レベルに応じた受験が可能です。
- 難易度:Bronzeは易
- 想定受験者:Javaでの実務経験が半年〜1年以上あるエンジニア、クラウド移行やリプレイスなど、Javaをメインに開発を続ける人
6.プロジェクトマネジメント系資格
管理職やリーダー職を狙うならマネジメント系の資格がおすすめです。資格の取得により、技術力に加えてマネジメント能力や戦略立案能力を証明できます。
PMP:国際的なプロジェクト管理資格
PMPはプロジェクトマネジメント協会(PMI)が認定する資格で、国際的なプロジェクト管理資格として高く評価される資格です。世界中で通用するプロジェクト管理の専門知識を証明できます。
- 試験内容(PMBOKベース):
- プロジェクトの開始
- プロジェクトの計画
- プロジェクトの実行
- プロジェクトの監視・コントロール
- プロジェクトの終了
- 難易度:高
- 想定受験者:開発リーダーやPM補佐の経験があるエンジニア
- 受験要件:
- 大卒以上:プロジェクト管理経験3年以上(36カ月以上)+35時間の公式研修修了
- 高卒:プロジェクト主導経験5年以上(60カ月以上)+35時間の公式研修修了
ITストラテジスト:上流工程に強みを持てる国家資格
ITストラテジストはIPAが実施する高度情報処理技術者試験の一つで、企業の経営戦略に沿ったIT戦略の策定・推進能力を証明できる国家資格です。
合格率約15%(参考値)の最難関レベルですが、取得すれば経営層との対話や戦略立案において大きなアドバンテージを得られます。
- 難易度:高(合格率の参考値は15%前後)
- 想定受験者:ITコンサルやマネジメント経験が豊富な上級エンジニア(概ね5年以上)、経営層に近い立場を目指す人
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技術の専門性を高めキャリアアップを目指すには、IT系の資格を取得して自身の現在位置を確認しながら、知識やスキルを実務で定着させ、体系的な研修で補完することが確実です。
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