IT業界への転職は、他の業界に比べて門戸が広いといわれます。しかし、未経験者と経験者では、採用担当者が見る評価ポイントが大きく異なるのが実情です。レベルに応じてアピールすべきポイントも異なるため、両者の境界線を理解しているかどうかで転職活動の成果は大きく変わってきます。
本記事では、未経験と即戦力エンジニアの境界線がどこにあるのか、評価ポイントの違いと、それぞれのレベルでアピールすべきポイントも解説します。
エンジニアの未経験と即戦力の境界線は「自走できるか」
未経験者と即戦力(経験者)を分ける本質的な境界線は、「自走して業務を遂行できるか」という再現性の有無にあります。
採用側から見た即戦力エンジニアとは、過去の実務経験を元に新しい環境でも一定のパフォーマンスを発揮し、主体的に課題を見つけて解決する能力を持つ人材です。マニュアルがない状況でも、自らの知識とスキルで業務を遂行できるかどうかで「即戦力」か「未経験者」かが分かれます。
さらに「未経験者」については、以下の分類によって、それぞれに求められる要件が異なることが一般的です。
- 完全未経験
異業種からの転職。ITに関する知識が全くないか、書籍や学習サイトで独学したのみの状態。 - 職種未経験
IT業界内での他職種への転職。フロントエンドからサーバーサイド、アプリ開発からインフラエンジニアなど。 - 業界未経験
ITエンジニアとして対応する業界が異なる。医療から金融、メーカーからサービス系など。
実務経験レベルに応じて採用側が求める人物像も異なるため、それぞれに適した転職戦略が必要です。
未経験エンジニアの評価ポイント
未経験エンジニアの採用では、現時点でのスキル以上に将来性や学習意欲といったポテンシャルが重視されます。ここでは未経験者が評価されるポテンシャルの3要素を解説します。
① IT学習の継続力(必須)
未経験エンジニアが評価されるポイントの1つ目は、「継続的に学習し、成長し続けられる姿勢」です。IT業界は技術の進歩が非常に速く、常に新しい知識を学び続ける意欲が欠かせません。
採用担当者は、以下の情報から候補者のプログラミング言語の学習状況や到達度合い、今後の学習計画などを把握し、学習意欲と主体性などを考慮して判断しているようです。
- ポートフォリオ
これまでの仕事で作成したWebサイトやアプリケーション - 資格学習
基本情報技術者試験やCCNAなどのIT関連資格の勉強
完全未経験や職種未経験であっても、前職での学習行動と成果を示せれば採用担当者から評価されます。
② エンジニアを目指した理由
2つ目の評価ポイントは、エンジニアを志望する明確な理由と志望動機の一貫性です。まずはITが好きであること。また、IT業界を選んだ動機やエンジニアとして実現したいことが曖昧では、採用担当者から「長続きしないのでは」と懸念されるでしょう。
「業務改善の経験からシステムの力を実感し、自分の手で課題を解決できるエンジニアになりたい」といった、エンジニアに興味を持ったきっかけや将来のキャリアビジョンが明確であれば、新しい業務やスキルの習得にも意欲があると判断されます。
③ 論理的思考・コミュニケーション力
未経験エンジニアが評価される3つ目のポイントは、論理的思考とコミュニケーション力です。論理的に物事を整理して考える力は、複雑な問題を分解して解決策を導き出せることを意味します。コミュニケーション能力は、顧客のニーズを正確に汲み取り、チームメンバーとも円滑に協力するために必須の資質です。
完全未経験でも営業などの業務でコミュニケーション力を身に着けた人材や、企画業務などで論理的思考力を磨いた人材は、チーム開発の資質があると期待されます。
即戦力人材(経験者)の評価ポイント
即戦力人材(経験者)の採用では、これまでの実績を自社でいかに再現し、貢献してくれるかが評価の軸となります。ここでは採用担当者が経験者を即戦力として評価する一般的なポイントを解説します。
① 技術スキルと現場対応力
経験者が即戦力と判断される1つ目のポイントは、技術スキルと現場対応力です。OS・データベース・ネットワーク・ミドルウェアなどの実務経験はもちろんのこと、SIer系企業では顧客先での実装や構築、運用の実績も評価されます。
トラブル対応力や改善実績も即戦力と評価される基準の一つです。突発的な障害が発生したときに冷静に原因を分析し、適切な解決策を選択・実行できるかどうかがチェックされます。
② 要件定義・設計など上流の経験
2つ目の評価ポイントは、要件定義や設計などの上流工程の経験です。SIer系企業では顧客に最適なシステム設計を提案できるかどうかがプロジェクトの成否を左右するため、「顧客の課題を解決する力(顧客折衝と仕様調整の経験)」が特に重視されます。
選考時にはどのような規模のプロジェクトで、どの範囲を担当したかがチェックされ、ニーズをヒアリングする能力も問われます。
③ プロジェクト推進力、自走力
3つ目のポイントは、プロジェクト推進力と自走力です。チームリーダーやサブリーダーとしてメンバーをまとめた経験やスケジュールの管理、品質向上のための施策を実行した経験の有無は、選考において必ずチェックされます。
課題が発生したときには解決策を自ら提案できる力が求められるため、どのプロジェクトに配属されても一定以上の成果を出せるか、採用担当者はこれまでのPL等の実務経験から再現性の有無を見極めます。
【経験別】エンジニア転職のアピールポイント
これまで見てきた評価ポイントを踏まえ、未経験者と経験者ではアピールすべきポイントが異なります。未経験エンジニアがポテンシャルをアピールするには、学習実績、志望理由、将来像、ポートフォリオの4つを整理することから始めましょう。
- 学習実績:学習時間、使用した教材、GitHubのアカウントなど
(完全未経験の場合)過去の学習方法:資格取得までの学習プロセス、意識した点など - 志望理由:なぜエンジニアなのか、なぜこの会社なのか
- 将来像:入社後にどのようなエンジニアになりたいか
- ポートフォリオ:独学で作成した制作物の概要と工夫した点
「Javaを3か月学習し、簡単なWebアプリを開発しました。2か月以内にJava Silverを取得予定です」と、取得した資格や成果物を数値を交えて提示し、現在のスキルレベルと意欲の高さを強調しましょう。エンジニアになりたい理由と、5年後・10年後のキャリアビジョンを明確に語ることで、採用担当者に本気度が伝わります。
一方、経験者は具体的なプロジェクト経験、技術スタック、成果、役割の4つを詳細に説明し、即戦力であることを証明しましょう。
- 具体的なプロジェクト経験:プロジェクトの規模、期間、業界
- 技術スタック:使用した言語、FW、DB、クラウドなどのバージョン
- 成果:課題解決のために自身が貢献したこと(数値で示す)
- 役割:プロジェクト内でのポジションと担当業務
どのような業界・規模のプロジェクトで、どの技術を使い、どんな成果を出したかを数字で示すと説得力が増します。企業の事業内容や求める人物像を引用しながら自身の強みを説明し、要件に合致する人材であることをアピールしましょう。
未経験・即戦力エンジニアがともに成長できる日比谷情報システム
IT転職市場において、未経験エンジニアには「学習意欲」と「素直さ」が求められ、経験者エンジニアには「技術力」と「再現性」が求められます。どちらにも共通する評価ポイントは、長期的に成長し続け、顧客に誠実に向き合える姿勢です。
日比谷情報システムには、未経験から着実にスキルを積める研修体制と、経験者が更なる高みを目指せる環境が整っています。要件定義や設計といった上流工程のプロジェクトを多数抱えているだけでなく、業務系アプリからインフラ設計・構築、クラウド環境構築まで幅広いプロジェクトに携わっているので、それぞれが描くキャリアを実現できます。
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